石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

オジロワシの抱卵とダーウィンの感情移入

利己的な遺伝子」で有名なドーキンスは、動物行動学でノーベル賞を受賞したティンバーゲンの弟子です。いっしょに受賞したフォン・フリッシュはミツバチの研究、ローレンツは水鳥の刷り込み行動で有名ですが、ティンバーゲンが何を研究した人か、今日までほとんど知りませんでした。

ネットによると、イトヨというトゲウオの研究が受賞対象とあります。ドーキンスに受け継がれた、進化論を動物行動学に取り入れた業績も、高く評価されているようです。

意識する、しないにかかわらず、生物学者は、皆、ダーウィンの弟子です。DNAの「二重らせん」を発見した分子生物学者のワトソンでさえ、そうなのですから。

ドーキンスダーウィンの本を読むと、どちらも強い説得力で迫ってきますが、両者の一番違うところは、ダーウィンには、ドーキンスには無い、あふれるような感情移入があることです。

先日、オジロワシの抱卵を確認したとき、私には特別な感情は興りませんでした。しかし、ダーウィンは違います。「いつもあれほど動き回っている鳥が、来る日も来る日も卵の上に座って暖めるためには、よほど強い内的満足感があるに違いない」というのです。

野鳥の子育てが大変なことは、誰にでもわかります。しかし、ダーウィンにいわれるまで、ひと月前後もじっと座り続ける、抱卵の大変さには、思いが至りませんでした。