石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

ワシの時間、ヒトの時間

冬期、オジロワシオオワシが、石狩川に面した木や流木に止まって、ジッと動かない姿を見ていると、ワシの時間は人の時間よりゆっくり流れているのではないか、と、つい考えてしまいます。もちろん、本川達雄氏の「ゾウの時間 ネズミの時間」を知った上でのことです。

ネットのインタビュー記事によると、「体重が10倍になると時間は1.8倍になる」と本川氏はいいます。人の体重はワシの約10倍です。ワシは野生で20年、飼育下で40年生きるとされ、人の寿命の半分くらいでしょうか。本川氏の説は正しいようです。

最近、防風林でオジロワシを待ちながら、「ワシの時間 ヒトの時間」の認識を改めました。車の中から、遠くの農作業や立ち話の様子を見ていると、ヒトの時間も相当ゆっくり流れているからです。同じ作業を何時間でも黙々と続け、立ち話はいつ終わるのか、見当もつきません。向こうも、こっちを、同じように見ているのは間違いないでしょうが。

その昔、札幌の冬期オリンピック大会で、5000メートルか1万メートルのスケート競技を、真駒内の屋外競技場で見たことがあります。あの時ほど、時の流れを遅く感じた経験は、いまだかつてありません。しかし、今、同じ競技をテレビ中継で見ても、決して退屈ではありません。マラソンだって見られます。なぜでしょうか。解説者の興味深い解説や、ラップタイムなどの詳しい情報が、次々と提供されるからです。

ワシの時間が長く感じられるのは、解説者がいないからです。ワシが今なにを見ているのか、横を見たのはなぜか、水面にどのような変化が現れるのを待っているのか、石狩川では、そのような現象が1日に何回起こるか、ワシの目は水深何センチまで見えのるか、このワシは1週間なにを食べて来たか、どのタイミングで飛び立つのか、アッ右前方20メートルに何か見えます、云々。そんな解説があれば、ドキドキしながら、何時間でも見ていられるでしょう。

興味のない人には、盛り上がるサッカー場さえ、流木に止まった1羽のワシに見えることでしょう。