今回、井上選手のすごい試合を見たのは偶然でした。「いだてん」を見たあと、チャンネルを動かしていて、たまたま再放送にあたったのです。ボクシングを見るのも何年振りでしょう。
その昔、ボクシングは大変な人気スポーツでした。ボクシングにWBA、WBCなど、たくさんの団体があるのは、各テレビ局が、競ってボクシングを放映していた名残りです。
世界には強いボクサーがたくさんいます。戦国時代に、強い大名がたくさんいて、群雄割拠していたのと同じことです。でも、たくさんいるチャンピオンの中で、本当に強いのは誰だろう。ファンは、ワクワク、ドキドキしながら、戦わせてみたいと思います。
この時、ファンの期待に応えて、放送局やスポンサーに話をつけ、夢のタイトルマッチを実現させるのが、強力なプロモーターの仕事です。裏で、たくさんのお金が動いたでしょう。しかし、今はそんな時代ではありません。
ボクシングの興行自体、成り立ちにくい時代です。今行われているトーナメント戦は、線香花火が、地面に落下する直前の、最後の輝きかもしれません。
なにしろ、ヘビー級の世界チャンピオンが誰なのか、もう10年以上、考えたことすらないのですから。
