家族が集まったお正月に、奮発して大吟醸酒を数本続けて飲んだため、大吟醸酒の香り、「吟醸香」にはまっています。
日本酒にうるさい「鳥おっさん」には何と言われるか分かりませんが、これは私の個人的な独断と偏見です。
もう10年くらい前のことですが、日本酒に詳しい薬理学者が大吟醸酒について、以下のように説明するのを聞いて、すとんと腑に落ちた経験があります。
酒米を50%以上精米すると、米の表層にあるタンパク質や脂肪など、貴重な栄養素の大部分が除かれ、ほとんどデンプンしか残らない状態になります。このような極限状態で培養された麹菌や酵母が作りだしたのが大吟醸酒で、独特のエステル臭(吟醸香)が生まれる、というのです。
私の解釈は、より単純で極端です。大吟醸酒とは、麹菌や酵母が、生きるか死ぬかの瀕死の状態で作り出した酒、というものです。獺祭の、23%精米で培養される麹菌と酵母の身になって、その飢餓地獄を想像してみてください。しかも、身震いするほど寒い、低温で培養されるのです。
話しは変わります。それほど酒米を削り、タンパク質や脂肪を除いているというのに、なぜ、杜氏たちは、無神経に、素手で酒米に触れるのでしょうか。
私は、人の生きる環境に最も大量に存在するタンパク質はケラチンだ、と確信しています。ケラチンは、動物の表皮から毎日剥落する大量のタンパク質で、人々を感染から守る万里の長城です。にもかかわらず、人はケラチンを、時に、垢と呼んでおとしめます。
せっかく50%以上も精米してタンパク質を除いているのに、なぜ杜氏たちは、大量のケラチンを、酒米に付着させるのでしょうか。伝統的な製法かもしれませんが、私には、無神経で台無しの行為にしか見えません。