石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

熊谷さんの新刊「野鳥美を求めて」について

先日、写真集「ハヤブサ」で有名な熊谷勝さんから、新刊「野鳥美を求めて」の見かたを直接伝授していただきました。

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私たちは、レンブラントの「夜警」を見ても、ゴッホの「ひまわり」見ても、有名な絵であることはわかっても、画家が何を描こうとしたのか、また、美術史上の価値がどれほどのものか、解説書を読まなければ、ほとんど何も理解できません。

絵画の見かたがわからないのは、万人共通なので少しも恥とは思いませんが、常日頃、野鳥の写真を大量に撮っている探鳥家は、野鳥写真の見かたを理解しているでしょうか。

こういう瞬間をとらえるのは中々大変なんだよね、鳥の目にピントが合い、背景がボヤケている所は最高だね、というような通り一遍の批評は、誰にでもできます。しかし、それでは熊谷さんの写真を理解したことにはなりません。

熊谷さんは、今、伝統的な日本画を描くように、身近にいる野鳥の構図や背景を考えています。熊谷さんは、野鳥の写真に、日本画の美を追求しているのです。

「野鳥美を求めて」のキーワードは「これは絵になる」でしょうか。その絵とは、もちろん日本画です。

熊谷さんは、ハヤブサの写真家から、野鳥写真に日本画の意匠を取り入れた写真家、へと進化しました。

一枚の野鳥写真が何を表現しようとしているか、写真家の意図を理解するには、一幅の日本画と対峙して、その意味を読み解こうとするような、注意深い鑑賞が要求されているようです。