スポーツに使用する用具は、戦争に使用する武器と同様に、常に進歩しています。激しい競争があるからです。世界記録が伸び続けているのは、人類が進化しているからではありません。
パラリンピックの幅跳びや高跳びの選手が、健常者を凌駕する記録を出すようになったのは、軽くて強靭な義足のバネが、重力を無駄にせず、筋肉以上に強い反発力を生んだためです。
同じ発想は、マラソン・ランナーの靴にも応用され、衝撃が走りました。
用具の進歩は不公平を生む、という発想は確かにあります。しかし、用具の進歩を受け入れるかどうかは、競技者と観客の意識が決めることです。
スキー・ジャンプの瑣末な用具規定は、一時、毎試合、上位を独占し続けた日本人選手をターゲットにした、差別的な嫌がらせに過ぎません。用具に対する無意味な規制を撤廃し、短い助走で、夢のように遠大なジャンプ・フライトを見たいものです。
棒高跳びのポールとポールを突っ込む穴を科学的に改良すれば、10メートル超えの飛躍も夢ではないかも知れません。竹棒を土に掘った穴に突っ込んで飛んでいた時代と、記録は大違いでも、人間の能力に変わりがあるわけではありません。
用具の改良進歩による、よりレベルアップした競技を、もっともっと楽しみたいと思います。