石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

はなれ瞽女(ごぜ)おりん

「はなれ瞽女(ごぜ)おりん」を朗読で聴きました。水上勉の原作を、有馬稲子が朗読したものです。1年以上前に聴いており、2度目だと思いますが、有馬稲子の朗読は完璧で、改めて、新鮮な感動を味わいました。

戦争前、あるいは、封建時代の日本社会は、介護も福祉もない、障碍者には恐ろしく冷たい社会だったような気がします。しかし、眼が見えず、身寄りのない女性でも、芸を身に付け、何とか生きて行く道が用意されていたのです。

おりんの人生は、厳しく苦難に満ちたものですが、小説には、兄のように慕う下駄職人との、雪解け水のような清純な愛も、また、懐かし朋輩との楽しい語らいも描かれています。

水上勉の小説だけでなく、テレビの時代劇にも時々出てきますが、ほんの少し前の日本の村はずれには、観音様や地蔵様を祀った小さなお堂がありました。そこは、一文無しの旅人でも、一夜の雨露をしのぐことができる、無料宿泊所だったのです。

良寛さんが生活した五合庵も、そんなお堂を少しましにしたようなものでした。

旅人は、お堂を汚すことなく、掃除して出て行ったでしょう。現代社会と、どちらが弱者に優しいか、どちらのマナーが優れているか、一考の余地があると思いました。