久し振りにモエレ沼までの道を、ママチャリで13キロ往復しました。往きは向かい風に逆らい、3段変速の1段で30分、帰りは追い風のお陰で、2段ないし3段を使い、20分で戻れました。運動不足を解消したいが、ジョギングでは、筋肉痛や関節痛で続きません。プールは混んでいて、残念ながら、マイペースでは泳げません。冬のクロスカントリー・スキーまでのつなぎとして、ママチャリを試した次第です。
スニーカーの方が良かったかも知れませんが、このところバード・ウォッチングでもよく履く、くたびれた黒いウォーキング・シューズを履いて出かけました。何年も磨いたことのない、つま先がスウェードのようになった靴です。
夜の庭で、バーボンをすすりながら足を組んだとき、12年前、この靴をウィーンの学会に履いて行ったことを思い出しました。硬い革靴は、長旅と学会で疲れるため対象外。茶色のウォーキング・シューズは、欧州のレセプションには場違いと考え、思いあまって選んだのが、この黒革のウォーキング・シューズでした。
ヨーロッパの学会にはダンス・パーティーが付き物です。昼間の学会では、山からトレッキングの途中に立ち寄った格好で、賞状の朗読も無しに、受賞講演が始まるのに、夜のレセプションでは、その昔、王侯貴族が集まったラートハウスの大広間で、着飾った紳士・淑女のように振舞います。昼間と同じ格好で参加した日本人は、吉良上野介にはめられた浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)のように、場違いな恥辱を味わうことになります。
荷物になることもいとわず、黒っぽいスーツを運び、黒いウォーキング・シューズを選んだかいがありました。学生時代に、ほんの少し習ったワルツをほんの少し踊って、真夜中のホテルに戻ったことを思い出します。