石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

小さな集落の自治権

私は夕張で生まれました。松浦武四郎に「夕張日誌」という紀行文があり、夕張は由緒ある地名です。また生まれ故郷である夕張に愛着がないわけでもありません。しかし、どうして夕張市が消滅しないのだろう、という素朴な疑問を、実は、もっています。

35年前、ワシントンDCの郊外にある大きな研究所に留学したときの経験です。研究所のあるベセスダは、新約聖書に、イエス安息日の禁を破って、病人を治療した泉のある所として出てくる由緒ある地名です。私は、研究室の親切なテクニシャンに、ベセスダは市ですか町ですか、というような素朴な質問をしたんだろうと思います。

彼の説明では、ベセスダは市でも町でもなく、モンゴメリー郡に属しているだけだ、といいます。市議会がないばかりでなく市役所もなく、当然のことですが市長もいません。自治権がない分、税金は安いはずだ、というのです。

念のためウィキペディアを調べると、英語版を直訳したようなことが書かれています。夕張市と違って、モンゴメリー郡は全米でも1,2を争う豊かな郡だそうです。

「郡住人の多くは未編入領域に住んでおり、その中でも多いのはシルバースプリング、ジャーマンタウン、ベセスダであるが、法人化都市であるロックビル(市)やゲイザースバーグ(市)にも人口が集中している」と。

モンゴメリー郡では、自治権をもつ市民の方が少ないようです。自治権はなくても、メリーランド州の平均より高いサービスを受けているのは間違いありません。組合をもたない優良企業のようなものでしょうか。

夕張市の鈴木市長が、次期、北海道知事の有力候補、という話を聞き、熱い風呂のなかで、小さな集落に、自治権が本当に必要なんだろうか、と改めて考えた次第です。