石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

ハヤブサに夫婦愛はあるか?

動画は、今年の10月Youtubeにアップしたハヤブサの夫婦です。向かって左が雌、右が雄です。子育てが無事終わってホッとし、束の間、穏やかな休息を夫婦並んで楽しんでいるように見えます。厳しい冬に向け、また来春の繁殖期に向け、秋は体力を養う重要な季節かも知れません。

いずれにしても、人の眼から見ると、縁側に座ってお茶を飲みながら世間話をしている、仲の良い夫婦に擬人化してみたくなる光景です。しかし、ハヤブサの夫婦に愛はあるでしょうか。

子育て期間中は、親子の愛に加えて、夫婦間にも愛がある、と私は考えます。それは、ハヤブサの雄が、雛の餌だけでなく、雌の食べる餌も運ぶからです。ハヤブサの夫婦は、子育ての期間、雌は雛の世話、雄は餌の狩りと明確に役割分担します。しかし、子育てが終わると、雌雄の役割分担は消滅します。

ハヤブサは縄張りをまもり、毎年、同じ場所で子育てをします。子育て期間に縄張りに侵入してくるライバルは、雄だろうと雌だろうと夫婦共通の敵ですから、協力して追い出すでしょう。しかし、交尾繁殖に先駆けて、若くて強い雄が侵入してきたとき、雌はどういう行動をとるでしょうか。

まさか若い雄と結託して前夫を追い出すことはないでしょうが、勝負がどうなるか、冷静に見きわめ、勝者と次の繁殖行動をとることになると思います。それが、より強い子孫を残すために、合理的な行動だからです。逆に、若くて体の大きな雌が侵入してきた場合にも、同じこと、つまり雄は高みの見物をするだろうと思います。

子育てが終わった時点で、親子関係も兄弟の関係も解消しています。縄張りは変わりませんが、家族は消滅している、というのが私の見立てです。ハヤブサの雌雄は、来期、繁殖相手となる可能性の最も高い候補に過ぎません。協力して侵入者を追い払う、夫婦愛の行動はとらないだろう、というのが私の予想です。

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