石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

源氏物語は劇画か

最近のテレビドラマを見ると、原作は劇画だな、と感じることがよくあり、たいてい当たっています。昔、「ビバリーヒルズ・コップ」や「ロボ・コップ」を見ながら、なぜ日本ではこういう映画ができないのだろう、と思ったことがあります。それまで、文学作品の映画ばかり見ていた偏見かもしれません。

劇画をドラマ化したもので最も印象に残っているのは、「ごくせん」です。ヤクザと何かを結びつける発想は、決して新しいものではありません。ヤクザと盲人を結びつけた「座頭市」、ヤクザと淡い恋愛を結びつけた「寅さん」は、既にお馴染みです。しかし、ヤクザと高校の女性教師を結びつけるのは、劇画にしかできない、トンデモナイ発想だと、えらく感心したものです。

最近、睡眠薬の代わりに、源氏物語の朗読を聴いています。幸田弘子さんの流暢な古文朗読に、瀬戸内寂聴さんの丁寧な解説がついています。何度か聞いているうちに、次第に、映像が浮かぶようになってきました。

源氏物語はトンデモナイ物語です。万世一系の王統を汚す、恐ろしくスキャンダラスな物語なのです。光源氏は桐壺帝の息子だから許される、というなら、室町幕府、3代将軍の源義満も天皇の血を引く源氏ですから、同じようなことをしても許されるはずです。

それはともかく、「桐壷」と「若紫」の驚くほどテンポの速い、ビジュアルな展開は、まさに劇画です。源氏物語を劇画で学ぶのは、まったく道理にかなった方法です。それにしても、このようなスキャンダラスな物語が、まさに物語の舞台である平安朝の王宮で楽しまれていたとは、何とおおらかな時代でしょう。