石狩のワシ派、タカ派

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映画「アンナ・カレーニナ」に感動

昨夜、2012年の映画「アンナ・カレーニナ」を観て、いたく感動しました。

日本語吹き替え版だったので、ネットで調べ、やはりロシア映画ではなく、米英合作映画と知りました。

アンナ・カレーニナ」は、一風変わった映画で、映画の中で芝居を観る劇中劇の要素と、歌舞伎やバレーのような様式美を兼ね備えています。心理描写に深入りせず、観客の感性に任せる演出も素晴らしいと思いました。

中心テーマである「アンナ・カレーニナ」の追及する愛は、もちろん愛ではありません。それは、生物界に広くみられる利己的な欲望です。美しく、魅力的で、能力ある個体は、与えられた環境の中で、最大限の自由と欲望の実現に挑戦します。彼らには、勝利の喜びを追求し続ける、特性と能力が与えられているのです。

映画や文学の感動は、この危険とスリルに満ちた男女の駆け引き、そして彼らの奔放な行動を妨げる社会制度との戦いを見る喜びです。

加えて、映画の中のダンス・シーンには驚きました。

私たち日本人は、西洋と東洋のダンスの違いには、敏感です。西洋の伝統的なダンスは、舞踏と翻訳されているように、基本的に、軽妙なステップと足さばきを見せるもので、そのアピール・ポイントは下半身にあります。

他方、東洋の踊りは、上半身と手の動きにアピール・ポイントがあり、芸者の踊りや盆踊りは、基本的に「手踊り」です。日本人のモダン・ダンスが魅力的なのは、手踊りの要素を取り入れているからだと思います。

驚いたことに、「アンナ・カレーニナ」のワルツは、「手踊り」に変貌していました。観客の視線は、2匹の蛇のように絡み合う、男女の腕の動きに集中します。2匹の蛇は、絡み合い戯れ合いますが、ロックすることなく、滑らかに解き放たれ、また別の形で絡み合います。これが、速いワルツのリズムに乗って、繰り返されるのです。

トルストイの原作を読んでいないので、小説により忠実な別の映画を観て、「アンナ・カレーニナ」の印象を客観化したいと思います。

でもその前に、「嵐が丘」を観なければなりません。