石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

ゴータマ・ブッダの煩悩は貪・瞋・痴の三毒ではない

ゴータマ・ブッダの煩悩は、一般に言われているところの貪欲、瞋恚(しんに)、愚痴の三毒ではありません。もしそうであれば、幸福な家庭生活を捨てて、出家しなさいと説法することはありません。素晴らしい業績をあげている企業経営者に、出家を勧めることもありません。

貪欲とは、際限なくむさぼり求めること、瞋恚(しんに)とは、怒り、嫌悪、憎悪といった攻撃的な感情、愚痴とは、無明とともにブッダの悟りに対する無知を意味し、ほかに根本的な生存欲、という意味もあります。これらは、根本的な生存欲を除くと、ゴータマ・ブッダでなくとも、誰だって否定するものです。

貪欲とは、欲望をおとしめる言い方ですが、健康で罪のない欲望は、家庭生活にも社会生活にも欠かせないものです。ゴータマ・ブッダは、健康で罪のない欲望をふくめて、すべての欲望を否定しました。だから幸福な家庭を捨てて出家し、あらゆる社会的活動をやめるよう、人々に説いたのです。

瞋恚(しんに)とは、実は闘志をおとしめる言い方ですが、健康なファイティング・スピリットや競争心は社会生活には必須の要件です。しかし、ゴータマ・ブッダは、健康な闘志や競争心をふくめて、すべての闘いを否定しました。だから出家し、あらゆる論争を避けて、ただ独り犀の角のように遊行することを勧めたのです。

煩悩を貪・瞋・痴の三毒とする解釈は、出家を否定する、大乗仏教の解釈です。