表彰状を読むのは、今や、日本だけの習慣です。ノーベル賞の授賞式やアカデミー賞の授賞式で表彰状が読まれることはありません。しかし、少なくともノーベル賞には表彰状に相当するものは付いてきます。
表彰状は、英語では一般にcertificateとよばれ、日本語では証明書と訳されます。この金メダルは、間違いなく、ノーベル委員会が、誰それに贈ったものです、という証明書です。
メダルと証明書が一緒に飾られていると、メダルが本物であり、誰のどんな業績に対して贈られたものか、10年たって記憶が薄れても、当時を思い返すことができます。
今まさに、大統領が、大相撲の優勝者に、米国盃をわたす現場に立ち会っているのに、なぜ、証明書を読んでもらう必要があるのでしょうか。
これが国際感覚です。しかし、100年以上続いている伝統ですから、日本人には何の違和感もありません。
その昔、パン・アメリカン航空の日本支社長、デヴィッド・ジョーンズ氏は、小柄な体を紋付羽織袴に正し、この奇妙な違和感を「ヒョー、ショー、ジョウ。アナターワ」とユーモラスなセリフ回しに変えていました。
