石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

枕草子にはグルメの話題がない

最近、睡眠薬の代わりに「枕草子」の朗読を聴きながら眠ります。松本和子さんが、丁度いい速さで、流暢に古文を朗読し、最後の巻では、田辺聖子さんが分かりやすい解説をしてくれます。

枕草子には、婦人雑誌が好んで取り上げることは、すべて、もれなく載っています。季節の美しさや年中行事から始まって、恋愛、ファッション、アクセサリー、温泉、観光名所、信仰、ペット、有名人の噂話、などなど。それこそ何でも、必ずひとこと触れられています。

美しい、可愛い、上品だ、というポジティブな評価だけではありません。ひどい、全然似合わない、みっともない、というネガティブに評価されるものでさえ、数多く取り上げられているのです。

にもかかわらず、婦人雑誌の必須アイテムの中で、完全に無視されているものがあります。それは、グルメです。王宮の招宴で飲食される、最高級の料理や飲み物が無視されているだけではありません。日常の食べ物さえ、まったく取り上げられていないのです。

唯一、出てくる梅干しでは、歯の抜けた老婆が、梅干しを口に含んでする、酸っぱい顔が、みっともないというだけです。お正月の餅粥(もちがゆ)は、餅粥を食べる話し、ではなく、餅粥を作るときに使う大きなへらで、油断している女官のお尻をたたく話です。

清少納言は、食べ物に感動したことが一度もない、味覚音痴の、気の毒な女性だったのでしょうか。