産経新聞は、2月17日、「ドゥテルテ氏 米比協定破棄は間違いだ」という主張(社説)を掲載しています。
ドゥテルテ大統領は、フィリピンでの米軍の法的地位を定めた「訪問米軍地位協定」の破棄を米側に通告した、というのです。
中国によって南シナ海の軍事拠点化が進められているというのに、米比の同盟関係を弱めるような行動は、あまりに軽率であり、直ちに撤回してもらいたい、という主張です。
ドゥテルテ大統領の今回の行動は、日本人の立場から見ると、極めて不合理です。しかし、不合理な行動をとる世界の指導者は、ドゥテルテ大統領だけでしょうか。
中国の指導者も、南北朝鮮の指導者も、ロシアの指導者も、ブレクジットを行ったイギリスの指導者も、そしてアメリカ大統領だって、日本の立場から見ると、不合理な行動ばかりしています。世界の指導者で、日本人から見て、合理的な行動をとっている人が、いったい何人いるでしょう。ほぼ皆無です。
世界中の指導者がみな不合理に見えるとしたら、日本人の合理性の基準の方が狂っているのではないか、という疑問が生じます。まさにその通り。日本人が合理的と信じる基準が、世界から見ると、実は不合理極まりないのです。
我利我利亡者の核保有国に囲まれながら、アメリカの核の傘をひたすら信仰し、金儲けのことしか考えない日本人は、世界の非常識であり、不合理の見本のような存在だと私は考えます。
各国の指導者は国益のために、必死に戦っているだけです。国際政治に、数学や自然科学のような合理性は、もともとありません。日本人に合理的と思われるものがあるとすれば、それは日本にとって都合がいいという、ただそれだけのことです。