石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

交尾は「ホカホカ」?

実の親子か義理の仲か、はたまた赤の他人か。馬鹿な雄とバカ娘の交尾が、抱卵する巣の近くでなぜ起こったのか、考えてみました。

現時点で、交尾には生殖行動としての意味はなく、濃厚に接触する個体間で行われる挨拶行動の一種になっていると思われます。ボノボが性皮をこすり合わせてする「ホカホカ」のような挨拶行動です。他の社会性動物や人間社会でも、広く行われているのかもしれません。

結論から先に言えば、若い雌ワシの行動は、ヘルパー行動の芽生えではないか、と私は考えています。娘や息子が親の子育てを助けるヘルパー行動は、基本的に、独立して子育てをするための餌場や狩場が不足する、縄張り不足のために起こると考えられています。

道北や道東、そしてオホーツク海側では多くのオジロワシが営巣しているのに、なぜ石狩には1か所しか営巣地がないか。明治・大正時代、あるいはもっと遡れば、札幌周辺でも、たくさんのワシが営巣していたでしょう。

札幌周辺の人口が増え過ぎたため、

1.子育てに必要な餌場、狩場が限られている。

2.営巣に必要な大木の茂る森が限られている。

その結果、魅力に欠ける石狩に残って子育てをしようとする、成熟したオジロワシの個体は極めて限られます。実際問題として、多過ぎる方がもっと悲劇的でしょう。

今回、1羽の雌が名乗りを上げました。しかし、一緒に子育てをする成熟した雄もいなければ、適当な営巣地もありません。

たまたま、石狩の生まれだったため、母親の巣に入り浸り、本能のなせるまま、その連れ合いと、「ホカホカ」挨拶をすることになってしまった、ということではないでしょうか。

ヘルパー行動は、本能というより状況への柔軟な適応です。しかし、オジロワシには、過去に、ヘルパー行動は観察されたことがありません。

現在のぎこちない関係がいかに発展するか、極めて楽しみです。