「愛とは何か 悟りとは何か」のなかで、一夫一婦制は人類の女性が子育てのために選んだ苦肉の策であり、子育ての問題さえ解決するなら、ヒトはチンパンジーやボノボのような乱婚制に戻るのが自然ではないか、と書きました。
そのような経緯から、私は、基本的に、この記事の主張を理解できます。
しかし、問題は、平等な福祉社会に生活する現代人の嫉妬心が、乱婚制を認めるかどうかです。なぜなら、乱婚制は魅力と能力のある個体に広範な自由を許し、逆に、魅力も能力もない個体には、極めて厳しい制度だからです。
自由を謳歌する既婚者に対する強い嫉妬心と、それをサポートする道徳律は、生殖機会の不平等を認めない、ヒトの社会が生み出した伝統的な知恵です。
スポンサーの意向に左右されるような弱者は、能力や魅力があっても、その行動は慎重でなければなりません。昔から乱婚制に近い自由を享受してきた、金持ちや権力者たちでさえ、今では慎重に行動しているのですから。