逆説的ですが、平成の30年間、日本の経済成長が完全にとまった最大の原因は、国鉄が分割民営化されたためである、と私は考えます。
1987年、国鉄は、なぜ分割民営化されたのでしょうか?
それは、
1.毎年の春闘でストライキを行い、国民に甚大な迷惑をかけ続けたから、
2.親方日の丸の気安さから、経済的合理性のない賃上げを要求し続けたから、
です。
しかし、今から思うと、日本にとって、国労・動労の迷惑なストライキは必要悪だったと確信します。
忖度社会の日本では、企業内労働組合に、生活水準を向上させる大幅な賃上げを経営者側に要求し、拒絶された場合のストライキ断行を期待するのは、土台無理があります。
隣の中国に10分の1の賃金で働く労働者がいると聞けば、賃上げ要求を抑制し、景気が悪いと聞けば、雇用を優先して、賃上げ要求を控えるのが日本人です。
給料が、右肩上がりに上昇した時代が終わると、物価の上昇は止まり、値下げ競争が始まりました。
高度成長の時代、野党やマスコミの最大のスローガンは「物価値上げ反対」であり、物価が下落することに反対する理由はなく、みな大歓迎です。
インフレは善、デフレは悪、という思想は、元々、日本人にはありません。
2%のインフレ目標は、日本人にとって、従来の発想を180度転換しなければならない、きわめて新奇な思想なのです。
日本では、物価は待っていても上がりません。
物価を上げるには、無理にでも賃上げをする必要があります。
その先導役を果たしてきたのが、国労・動労のストライキだったのです。
今、物価を上げるには、政府の強力な指導により、最低賃金をアメリカ並みの1500円に押し上げるしかありません。
そして労働生産性の低い中小企業を統廃合する以外に、日本経済を再活性化する方法はない、と私は考えます。