天皇制は、神話と信仰をもち、古代から連綿と続く、日本人の立派な宗教です。
神話とは、日本建国と天皇の起源にかんする、古事記や日本書紀の記述です。
信仰とは、万世一系の天皇を戴き、崇拝する方が、日本人はよくまとまり、日本国の統治はうまく行く、という何の科学的根拠もない信仰です。
南無阿弥陀仏と唱えれば、どんな悪人でも、死後、極楽浄土に往生できるという信仰と同様に、もともと科学的根拠をもたないのが信仰の特性ですから、この信仰には何の問題もありません。
天皇制に問題があるとすれば、この宗教には広く認められた聖典も教義もなく、宗教の存続が、ひとえに天皇と呼ばれる男子にかかっていることです。
第二次世界大戦後、連合国が昭和天皇を処刑し、天皇制を廃止すると宣言し、これに基づいた憲法をつくっていたら、天皇制という宗教は完全に消滅していたかもしれません。
もちろん、占領軍が去り、日本が独立したあと、高松宮を天皇とする天皇制が復活したかもしれませんが、天皇を位置づける憲法改正は、自衛隊を国防軍とする憲法改正以上に困難だったでしょう。
天皇制という国家宗教は、その存在価値を認める人が極めて少ない、究極の絶滅危惧種だからです。
天皇や皇室の関係者には、天皇制が稀有な宗教である、という自覚と認識をもってもらいたいと、私は切に願っています。
今回の結婚騒動で考えたこと。