ブッシュ元大統領は、イラクを独裁者フセインから解放した時、イラクが戦後の日本のように民主主義国に生まれ変わり、自分はマッカーサー元帥のように崇拝される、と夢想していました。
しかし、現実はそうならず、泥沼の戦争が継続しました。
なぜ、日本は民主主義国になったのに、イラクは民主主義国になれなかったのでしょう。
それは、日本が元々民主主義国で、アメリカ人の教育のおかげで、民主主義国に生まれ変わった訳ではなかったからです。
戦前の日本には、フセインやプーチン、ヒトラーや毛沢東のような独裁者はいませんでした。
東条英機も昭和天皇も独裁者ではありません。二人とも、アメリカとの戦争を何としても避けようと努力していました。
それでは、なぜ戦争に突入してしまったのでしょう。逆説的ですが、独裁者がいなかったからです。
日本の政治家は、戦前から民意に縛られ、望むような政治ができませんでした。
戦争を望んだのは、実は、朝日新聞など、当時のマスコミに煽られた、民意だったのです。
マスコミは民意に迎合し、民意を煽るものです。その結果、部数や視聴率が伸び、増収に結び付きます。戦争になると、まちがいなく新聞が売れたのです。
開戦を決めたものを、山本七平は「空気」と呼びましたが、「空気」とは、マスコミに煽られた民意です。
そのことは、現在のコロナ報道を客観的に観察すると、よくわかります。
もし、自民党政権が、マスコミに煽られた民意に忠実に従っていれば、東京オリンピックは中止され、東京はロックダウンされていたはずです。