石狩のワシ派、タカ派

札幌と石狩川流域の猛禽類の狩りと子育てを動画で記録します。

ノルウェーの森

五木寛之氏の華々しいデビューと私の学生時代が重なっているのに、私が五木氏の本を手に取ったことさえなかったのは何故か、理由がわかりました。

1970年、私が大学に入学したとき、学生書房で人気の(と私に見えた)本は、庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」とイザヤ・ベンダサンの「日本人とユダヤ人」でした。

今日、「日本人とユダヤ人」の目次を見て驚きました。素晴らしき誤訳「蒼ざめた馬」、という章があり、五木氏が1967年に直木賞をとった「蒼ざめた馬を見よ」が、ほんの一瞬、取り上げられているのです。

「蒼ざめた馬」は、毎年、受験シーズンになると新聞・雑誌に必ず現れる「狭き門」という句と同じように、聖書に無知な日本人らしい、悲しい(素晴らしき?)誤訳だというのです。

日本人とユダヤ人」が、私の生き方に多大な影響を与えたのは間違いありません。しかし、いまから思えば、誤訳だけで五木氏を無視したのは、狭量でした。ノーベル賞候補の村上春樹氏にも、「ノルウェーの森」という偉大な誤訳があるのですから。

これは、以前、ジョン・レノンの伝記を読んで、はじめて知ったことです。「ノーウェージャン・ウッド」というのは、イケアでよく見る、白木の家具のことで、当時、専門家かマニアしか知らない専門用語、だったようです。

伝統的な「とのこ」を塗らず、節があっても気にしない、木の素材をそのまま生かす、自然派の家具です。ジョン・レノンの恋人は、そういう、きわめて個性的な趣味をもった人だった、というのです。ただし、ヨーコではなかった、と記憶します。