「岸信介証言録」よりも前に注文し、3月に入らなければ届かないと思っていた「安倍晋三回顧録」が予想外に早く届きました。ベストセラーと言われるだけに、2月20日付けの再販となっています。
まだ「岸信介証言録」を読み終わっていませんが、昨日から「安倍晋三回顧録」を読み始め、2日で読み終わり、赤線を引いたところを再度読み直したところです。
読後感については、高橋克己氏のブログのほか、高橋洋一氏のYoutube動画など、既にいつくか読んだり聴いたりして、多くの感想は重なります。
「回顧録」には面白いエピソードや次世代への教訓が、至る所にちりばめられていますが、そのなかで最も印象に残っているのは、次の1節です。
日本人の面白いところは、現状変更が嫌いなところなのですよ。だから安全保障関連法ができる時に、今の平和を壊すな、と反対していても、成立後はその現状を受け入れるのです。安全保障関連法成立後、しばらくたって「廃止した方が良いか」と世論調査で聞くと、廃止派は少数になるのですね。(167ページ)
集団的自衛権の行使を一部可能とした安全保障関連法だけではありません。特定秘密保護法にしても、教育基本法の改正にしても、変えてしまえば当たり前のこととなり、なぜあんなにむきになって反対したのか、分からなくなってしまうのです。
さらに言えば、まだ実現していませんが、憲法9条を改正して、自衛隊を国防軍として正しく位置付けたとしても、また、スパイ防止法を制定して、敵対国のスパイ活動から、国や企業の重要な機密情報を守ることができるようになったとしても、法改正が済めば、なぜ今までそうしていなかったのか、不思議に思われるようになる、というのが日本人の特徴と、安倍元総理は見抜いていたということです。
では、日本人はなぜそうなるのでしょう。それは、戦後日本の常識は世界の非常識であり、日本人が非常識と思うことこそが世界の常識だからです。
もちろん、現状変更には信じられないほどのエネルギーが必要です。だから、一つの内閣でできる改革には限りがあるのです。